自分がされたらどう思う?
この言葉、支援の場で耳にしたことはあるでしょうか。
この支援者の言葉は、コミュニケーションにおいて大切な
「他者理解」の視点が抜け落ちてしまっています。
問題になりうる受け取り方や、伝え方の基本を考えていきましょう。
(暴力、言葉の暴力、差別的発言に関しては基本的にはNOを伝えましょう)
「私はされても嫌じゃないもん」
「自分がされたらどう思う?」
の返答として
別に私は嫌じゃないもん
と返されてしまうと極端な話そこで会話は終了してしまいます。
これは
「自分がされて嫌なことは、相手も嫌だと感じる」
という前提に立った問いかけだからです。
逆の発想をするならば
「私がされて嬉しいことは、相手も嬉しく感じる」
と受け取ってしまう可能性があります。
ここに「他者理解」の視点を基本に
「相手がどう感じるのか」を一緒に考えてあげることが重要です。
ですので、もし同じように問いかけをするのであれば次のようになります。
「自分(〇〇さん)はされたらどんな気持ちになる?」
「そっか、わかった。
じゃあ、相手(〇〇くん)はどう思ってると思う?」
ただ、これに関しても「そんな相手の気持ちなんかわからない!」という子にとっては意味のない問いかけになるので、基本的には「相手がどう感じたか」の結果を伝えてあげましょう。
常に「相手の気持ち」を主として伝える
何かトラブルがあった際には
「相手がどう思ったのか」を支援者が中継しながら伝える必要があります。
「そんなつもりで言ってない(やってない)」ということを受け止めながらも、相手がどう受け取ったのかという事実を理解できるように支援します。
注)もし相手側に極端な被害妄想や受け取り方のねじれがある場合は、そうして受け取ってしまう子どもに対しての支援を組み立てていく必要があります。
パターンが違うから難しい他者理解
「気持ち」「感情」というのは理解するのがとても難しいものです。
(これは子どもに限ったことではなく、大人の社会においてもそうだと思います。)
相手の気持ちを想像することが苦手な子どもにとっては、膨大なエネルギーを使うことになります。
そして、そうした子どもたちは
「パターン学習」を積み重ねてそれらを推測する経験を得ていきます。
しかし、そのパターンは常に一定ではなく
・前の状況
・相手との関係性
・相手のコンディション
その他多くの事柄に影響を受けます。
例を挙げてみます。
もしかすると、直前に喧嘩をしていたかもしれませんし、Aちゃんは全く関係ない所でBちゃんのイライラ度がかなり高かったのかもしれません。
Aちゃんとしては、前にうまくいった方法を再度実行したのですが、そのパターンがハマらずにイライラしてしまいました。
こうした「相手の表情を読む」「その場の流れを読む」ことに対する苦手さを克服しようとするとどんどんとしんどくなってしまうため、生じたトラブルに対して一つ一つ丁寧に関わることが大切です。
まとめ
今回は「自分がされたらどう思う?」について考えてみました。
コミュニケーションスキルの支援において、「他者理解」の部分は本当に難しいなと思います。
本当に悪意なく、相手が傷つくような言葉をポンと使ってしまう子もいます。
この2つを理解するために、他者との関わりの中で失敗や成功を経験し学んでいく必要があります。
『全ての人間が喜ぶ言葉』は存在しません。
一番大事にしたいことは
成功を積み重ねることです。
ですので、支援者としては
子どもの言葉や行動に対して
「その言葉は先生嬉しく思ったよ」
「〇〇してくれてありがとうね」
という関わりを意識して増やしてあげるといいなと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました!!