今回は「専門的支援実施加算」について考えたいと思います!
理学療法士や作業療法士といった国家資格保持者と並び
「実務経験5年以上の保育士・児童指導員」もその対象に含まれました。
しかし、現場からは一つの大きな疑問が投げかけられています。
「ただ5年間働いただけの人に、専門職と同等の専門性があると言えるのか?」
今回は、この制度の懸念点と、加算に見合う「真の専門性」をいかに構築すべきかについて考えていきます!
「5年間の経験」はスキルの証明になるか?
理学療法士(PT)や作業療法士(OT)といった国家資格は、数年の養成課程を経て、厳しい試験と実習をクリアした「知識の裏付け」があります。
対して、児童指導員の「5年」という要件は、あくまで「時間の経過」でしかありません。
- 常に最新の療育理論を学び、仮説検証を繰り返してきた5年
- 特に目的意識を持たず、ルーティン作業として過ごした5年
この両者が、制度上は同じ「専門的支援の担い手」として評価されてしまいます。このスキルの不透明性こそが、現在の加算制度における最大の課題です。

「長くいるから詳しいはず」という曖昧な期待ではなく
「この根拠に基づいた支援ができる」という確信に変える努力が
今、現場に求められています。
専門性を「見える化」する研修体制の構築
「5年選手」を真の専門家に変えるには、個人のやる気に任せるのではなく、組織としての研修体制が不可欠です。
【社内研修】アウトプットを前提とした事例検討
単に講義を聞くだけでなく、実際のケースを用いた「事例検討会」を定期開催しましょう。
- ABC分析(行動分析)の実施: 困った行動に対し、原因と結果を構造的に捉える訓練。
- ピア・レビュー: 他のスタッフの支援に対し、専門的見地からフィードバックし合う文化の醸成。
【社外研修】体系的な理論の習得
自己流の「経験則」を脱却するために、外部の専門研修を積極的に活用します。
- 公的研修の受講: 「強度行動障害支援者養成研修」など、自治体が実施する専門性の高い研修への参加。
- 学会やセミナーへの参加: ABA(応用行動分析)、TEACCH、感覚統合といった、リハビリ職とも共通言語で話せる「理論」の武器を増やす。
「専門性の言語化」が信頼を創る
専門職とそうでない人の決定的な違いは、自分の行っている支援を「言語化」できるかどうかにあります。
「なんとなく、この子にはこれがいいと思った」という勘は
どれだけ当たっていても専門的支援とは呼べません。
- なぜ、その声掛けを選んだのか?
- なぜ、その環境設定にしたのか?
- なぜ、その目標設定が今必要なのか?
これらを保護者やチームメンバーに、科学的根拠(エビデンス)や発達理論に基づいて説明できること。
この「説明責任」を果たせる能力こそが、加算を算定するに相応しい児童指導員の専門性です。
言葉にできない支援は、再現性がありません。
言語化することで初めて、チーム全体で支援の質を再現し、高めていくことが可能になります。
専門性チェックリスト
「児童指導員の専門性とは何か」について簡単にチェックリストを作ってみました。
あくまで個人で考えた例ですので、このスキルがないといけないというものではないですし、
ABAやTEACCHプログラムはそれぞれ独自の研修があるので参考までにご覧ください。
まとめ
専門的支援実施加算を算定することは、単に事業所の収益を上げることではありません。
[私たちは、5年以上の経験に裏打ちされた、根拠ある高度な支援をこの子に提供します」という、保護者と子どもへの約束です。
「ただの5年」を「価値ある5年」へ。
日々の支援を理論で裏付け、それを言葉にし続ける。
その積み重ねの先に、リハビリ職と肩を並べる「児童福祉のプロフェッショナル」としての姿があるはずです。





