今回は放デイにおける「通所自立支援加算」と「自立サポート加算」について、こども家庭庁から出ているQ&Aも参考にしながら見ていきます。
共に令和6年度の報酬改定から新設された加算です。
※算定要件等は公のものを引用していますが、各自治体によって解釈が変わる場合がありますのでご注意ください。
通所自立支援加算
自宅または学校と事業所間の移動について自立して通所が可能となるよう、職員が付き添って計画的に支援を行った場合に算定するものです。
加算要件
【主な要件】
・児童が公共交通機関等又は徒歩により放課後等デイサービスに通う際に、放課後等デイサービスの従業者が同行し、自立しての通所に必要な知識等(※)を習得するための助言、援助等の支援を行う
(※)移動経路、公共交通機関の利用方法、乗車中のマナー、緊急時の対応方法等
・あらかじめ児童及び保護者の意向を確認し、保護者の同意を得た上で、支援の実施及び個別に配慮すべき事項その他の支援を安全かつ円滑に実施する上で必要となる事項について、個別支援計画に位置付ける
・児童の安全な通所のために必要な体制を確保した上で支援を行うこと
(1対1の支援を基本とするが、児童の状態に応じて安全かつ円滑な支援が確保される場合には、職員一人が児童二人に支援を行うことも可能)
・通所に係る支援の安全確保のための取組に関する事項について、安全計画に位置付け、職員に周知を図るとともに、研修等を行う
・加算対象児ごとの支援記録を作成する
加算単位数
計画に沿って当該支援を行った日に算定ができます。
同月内の上限回数はありませんが、算定開始から3ヶ月までを限度という基準があります。
通所自立支援加算 (算定開始から3月を限度) | |
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60単位/回 |
算定に際しての注意点
報酬改定に際しての改訂時のポイントやQ&Aから注意点を抜粋・要約しております。
詳細はこども家庭庁のHPをご覧ください。
(参照Q &A:Vol1 問44〜47、Vol2 問8)
リンク→こども家庭庁HP 令和6年度障害福祉サービス等報酬改定について
・重症心身障害児は対象とならない。また、同一敷地内の移動や、極めて近距離の移動などは対象とならない
・算定開始から3月(90日)の間に行った通所に係る支援に限り算定が可
・進学・進級、転居等の環境の変化により、改めて自立した通所に つなげるために支援が必要と判断される場合には、改めて算定することが可
・学校の目の前に事業所がある場合や、徒歩数分の距離の通所など、その間に横断歩道などの場面があるとしても、加算により評価する通所自立支援に当たるとは考えられず、本加算は算定できない
・居宅や学校から事業所への道のりの途中までを別途の手段で移動し、途中の地点から事業所に移動する場合、それが日々変わるものでなく固定された通所経路である場合には、当該地点からの通所自立支援をもって本加算を算定し得る。ただし、この場合においても、極めて近距離の通所は対象外であることに留意すること。
・公共交通機関等を利用する場合、職員の乗車料金等について、保護者から徴収することはできない
(障害児本人の乗車料金については、利用者側が準備して利用者側が 負担の上、支援に当たる)
・徒歩又は公共交通機関以外の通所手段(自転車等)での通所支援においても算定可
・自転車の後部座席に乗せて送迎する場合など、支援の要素が乏しく送 迎の要素の強い形態による場合には算定されない
・支援を行う場合は指定基準により置くべき従業者に限ることを求めるものではない
(放課後等デイサービスの従業者が行う)
・本加算による通所自立支援を行った時間(送迎に同行して支援を行った時間)は、放課後等デイサービスの提供時間に含まれない
自立サポート加算
高校生(2年生・3年生に限る)について、学校卒業後の生活に向けて、学校や地域の企 業等と連携しながら、相談援助や体験等の支援を計画的に行った場合に算定する加算です。
加算要件
【主な要件】
・個別支援計画及び学校での取組内容を踏まえ、当該児が希望する進路を円滑に選択できるよう支援するための自立サポート計画を作成する
・自立サポート計画に基づき、児童の適性・障害の特性に対する自己理解の促進に向けた相談援助や、必要となる知識技能の習得支援など、児童が希望する進路を選択する上で必要となる支援を行うこと。その際、必要に応じて地域の商工会や企業等と連携する
(これらの支援に当たっては、基本とされる総合的な支援の提供を確保した上で進める)
〔想定される取組〕
自己理解の促進に向けた相談援助
適正や障害特性の理解
現在や将来の課題などについて客観的な評価を交えた相談援助の実施等
進路の選択に資する情報提供や体験機会の提供
働く意義や職種・業種の情報提供
事業所での作業体験
企業等での職業体験
就労・進学等を経験している障害者による経験に基づく相談援助・講話等のピアの取組等
必要な知識・技能を習得するための支援
生活や職場での基本的マナー
進路に必要な具体的な知識技能の習得支援
・計画に基づく支援の実施状況の把握を行うとともに、課題を把握し、必要に応じて計画の見直しを行う
・計画の作成・見直しに当たって、当該児童・保護者に説明するとともに、同意を得る
・児童が在籍する学校との日常的な連携体制を確保し、自立サポート計画の作成・見直し、支援の実施において必要な連携を図る
(連携における会議等の実施について、関係機関連携加算(Ⅰ)又は(Ⅱ)の算定を可能とする)
・対象児ごとの支援に関する記録を行う
加算単位数
自立サポート加算(月2回を限度) | |
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100単位/回 |
算定に際しての注意点
報酬改定に際しての改訂時のポイントやQ&Aから注意点を抜粋・要約しております。
詳細はこども家庭庁のHPをご覧ください。
(参照Q &A:Vol1 問48)
リンク→こども家庭庁HP 令和6年度障害福祉サービス等報酬改定について
・中学校卒業後に進学しない児童や、高校を中退する予定の児童卒業に関しては、中退などが予定される日から遡って1年間の期間を支援の対象期間とする
(例えば中学校卒業後に進学しない 児童の場合、中学3年生の期間が対象)
まとめ
「通所自立支援加算」「自立サポート加算」について解説しました。
「通所自立支援加算」については「徒歩数分の通所においては算定不可」というところの判断が非常に難しいため、各自治体の担当者との協議になるかと思います。
通所支援においては「危機管理能力」「情報処理能力」の部分での支援もありますが、「本人の不安な気持ちや自信のなさ」に対する支援の場合もあるかと思いますので、個人的には「通所の距離」ではなく「支援の必要性」での判断となればいいなと思います。
「自立サポート加算」は今後放デイの役割として大きくなってくるのだろうなと感じます。
特別支援学校以外の高校に通っている場合、その高校での進路相談と併せて放デイの支援が一定必要になるのではないでしょうか。要件として想定されている支援にも「企業等への職業体験」や「社会人としてのマナー」というものが挙げられています。
事業所として『地域との繋がり』があると、支援の質も高めていけるのではないでしょうか。
(地域連携の記事はこちら→ 放デイ地域連携実践例「野菜販売」)
最後までお読みいただきありがとうございました。