令和7年度から放課後等デイサービスにおける支援プログラムの公表が義務付けられます。
これまでは「事業所の理念」「支援方針」「事業所の特徴」「プログラム内容」等々を事業所独自で発信する形になっていました。
その発信の形式を統一しましょうという改正になります。
支援プログラム公表の主な目的は以下の2点です。
①全職員が、自事業所の理念や支援方針、提供する支援等について、共通理解を深めるための役割。
②事業所が提供する支援内容の見える化により、支援を必要とするこどもや家族のサービス選択に資する役割。
もうすでにHP等で発信されている事業所さんもありますが、まだ完了できていない事業所さんもあるかと思います。
こども家庭庁から出されている手引きをもとに、作成のポイントを見ていきましょう。
(以下に「手引き」と「雛形」のリンクを貼っています)
外部リンク↓
①【児童発達支援等における支援プログラムの作成及び公表の手引き】(こども家庭庁より)
② 参考様式(Excel・こども家庭庁HPより)
③ 様式パターンのイメージ(PDF・こども家庭庁HPより)
支援プログラム作成の『目的』
再度ですがプログラム作成の目的を確認します。
上記の通り、事業所にとっては「支援のポイント」や「5領域を含めた総合的な支援のバランス確認」等の支援を再整理する役割があります。
また利用者さんにとっても、「この事業所はこんなところを大事にしているのか」「このイベントは他ではやっていないぞ、魅力的!」等、契約先を探す上でのとても大切な情報です。
今回の公表義務化について、「また事務的な仕事が増えてしまった」「そんな時間ない」とネガティブな気持ちになってしまうかもしれません。後ろ向きな気持ちで取り組むとどうしても手が進まないので「これをすることによって、事業所にも利用者さんにもメリットがあるんだ」という前向きな気持ちで取り組めると良いなと思います。
資料作成を現場のスタッフとも一緒に取り組み、一種の「研修」として扱って進めていくのもよいのではないでしょうか。
記載すべき全12項目について
それでは記載すべき12項目について確認します。
記載すべき内容については「事業所における基本情報」と「支援内容」という2つのカテゴリーがあります。
基本情報については項目通りですので、「支援内容」の6つの項目に関して詳しく見ていきましょう。
[支援内容]の6項目について
本人支援の内容と5領域の関連性
基本的な本人支援について記載する項目です。
さらにここでは「5領域との関連性」も同時に明確にしていきます。
5領域の内容は次のとおりです。
①「健康・生活」
②「運動・感覚」
③「認知・行動」
④「言語・コミュニケーション」
⑤「人間関係・社会性」
整理の流れとしては以下の2パターンがあります。
・事業所で取り組んでいる支援、プログラムを全て書き出して、それぞれがどの領域に対応しているかを整理する
・5領域それぞれの項目に対して、どのような支援、プログラムを提供しているかを整理する
取り組んでいる支援から考えるか、5領域から考えるかの2パターンです。
考えやすいのは前者かなと思います。(個人的にですが)
実際に例を挙げてみます。
実際に取り組んでいる支援については小さなものでもよいのでどんどん書き出していきましょう。
重なる部分はうまくグループ分けをしてまとめながら、事業所として重きを置いている支援についても、比較的比重の小さい支援についても整理します。
5領域支援についてはおそらくどの放デイでも全て取り組んでいると言っていいほど基本的な内容です。
「挨拶」や「片付け」、「自身の気持ちを発信する」「相手の気持ちや、状況を読み取る」など日々取り組んでいる細やかな支援を言語化してみましょう。
家族支援(きょうだいへの支援も含む。)の内容
ガイドラインで示されている「ねらい」を確認します。
・アタッチメント(愛着)の安定
・家族からの相談に対する適切な助言等
・障害の特性に配慮した家庭環境の整備
内容に関しての主は「家族に対する相談支援の実施」です。
事業所として「ご家族の支援も大切にしています」というメッセージが伝わるような公表の内容になればよいかと思います。
ペアトレや、保護者同士の交流会などを実施している場合にはそれも記載しましょう。
移行支援の内容
ガイドラインで示されている「ねらい」を確認します。
・放課後児童クラブ等への移行支援
・ライフステージの切替えを見据えた将来的な移行に向けた準備 ・放課後児童クラブ等と併行利用している場合における併行利用先との連携
・同年代のこどもをはじめとした地域における仲間づくり
現実的に「放課後児童クラブ等」への移行が難しいことも多いかなと思います。
「移行支援」という言葉に関して
『その子が生活している又は生活していく環境や場所をより良いものにしていく』という意味で個人的には理解しています。
「健常児と同じ環境で過ごせるようにする」という理解にしてしまうと全く違った捉え方になってしまいます。
その子の周りの「人」を含めた環境にアプローチする
という視点でこの項目を整理していきましょう。
利用者さんが通われている学校への助言や情報共有も大切な移行支援です。
「本人支援」や「家族支援」とも内容の重なる部分があるでしょう。
地域支援・地域連携の内容
ガイドラインで示されている「ねらい」を確認します。
・通所するこどもに関わる地域の関係者・関係機関と連携した支援
地域連携の項目ですので、地域のこども家庭センターや障害者支援センター、相談支援事業所との連携に関しての取り組みや連携への考え方を整理します。
地区社協や民生委員、児童委員等、より身近な地域との連携ができると良いのではないかなと思います。
近隣の放デイとの連携や、将来を見据えて成人の事業所とのつながりを作っていくことも大切になってきます。
職員の質の向上に資する取組
研修等に関する内容です。
・新入職員研修
・スキルアップの為の研修
・法定研修
・防災に関する研修
・ケース検討会 等々
虐待防止や身体拘束に関する内容など、法定研修に関しての公表と同時に事業所での独自の取り組みも公表しましょう。特に外部研修や他機関連携での研修などに取り組んでいると、保護者さんにとっても安心材料となるかと思います。
主な行事等
事業所で特に大事にしている行事、イベントについて整理します。
・保護者さん参加型の夏祭りやクリスマス会等の行事
・地域の商店と連携した体験活動
・年度末の活動報告会
・お花見やハロウィンなどの季節行事
行事に関しては、大きなアピールポイントです。
取り組んでいる行事、大切にしていることや思いなどを整理して発信できるといいと思います。
支援プログラム未公表減算
今回の義務化は令和7年度4月1日からの適用となります。
令和6年度中に公表できるように取り組みましょう。
公表の義務を怠った場合は減算措置がありますのでご注意ください。(所定単位数の15%を減算)
まとめ
今回は「支援プログラムの公表」について考えてきました。
一度作って終わりではなく、必要に応じて作り変えていく必要があります。
児発管、管理者の方は日々の業務だけでも仕事量が多いのではないかと思います。管理者兼務の児発管であればなおのこと多忙な日々を過ごされているのでないでしょうか・・・
私自身も
支援会議の資料作らないと!
あ、昨日の保護者面談の記録も作成しないと。
やばい、そろそろ来月のシフトも作らないと〜!
と何かと追われてしまう日々を過ごしていました。
【支援プログラムの公表】大変ではありますが、事業所にとっても、利用者さんにとってもメリットとなるよう参考にしていただければ嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。