【放課後等デイサービス・児童発達支援】BCP(業務継続計画)の策定ガイド|未策定減算・厚労省ひな形の使い方

当ページのリンクには広告が含まれています。

放課後等デイサービス・児童発達支援では、BCP(業務継続計画)の策定は義務化されており、多くの事業所では作成済みだと思います。

ただ
「開所時にひな形の空欄を埋めて、それ以来見直していない」
「今の職員体制や設備に内容が合っているか自信がない」
という状態になっていないでしょうか。

また、これから新規開所を予定している事業所にとっては、何をどこまで整理すればよいかを把握しておくことが、開所準備の重要な一部になります。

この記事では、放課後等デイサービス・児童発達支援でBCPをどう作り、どう点検すればよいかを、厚生労働省が公開しているひな形・様式ツール集に沿って整理します。

目次

BCP(業務継続計画)とは

BCPとは、感染症の流行や地震・水害といった自然災害が発生した場合でも、重要な業務を止めない、あるいはできるだけ早く再開するためにあらかじめ定めておく計画のことです。

放課後等デイサービスや児童発達支援は、子どもの発達支援だけでなく、保護者の就労や生活を支える役割も担っています。緊急時にサービスが長期間止まってしまうと、子どもの成長機会だけでなく、家庭全体の生活にも影響が及びます。BCPは「もしものときにどう動くか」をあらかじめ決めておくことで、混乱した状況でも落ち着いて対応するための土台になります。

BCPの策定は必須?研修だけでは足りない

放課後等デイサービス・児童発達支援では、BCPの策定そのものが運営基準上の義務とされています。

年1回以上の研修・訓練の実施はもちろん必要ですが、それはBCPという「計画書」が存在していることが前提です。研修だけを行っていて、計画書自体を作成していない状態では、義務を果たしたことにはなりません。

BCP策定は令和6年度報酬改定で義務化され、令和7年3月31日までの経過措置が設けられていました。この経過措置はすでに終了しており、2026年9月現在は感染症BCP・自然災害BCPのどちらも策定済みであることが前提となっています。

BCP未策定の場合の減算

BCPが未策定の場合や、BCPに従った必要な措置を講じていない場合は、業務継続計画未策定減算が適用されます。

項目内容
減算名称業務継続計画未策定減算
減算率所定単位数の1%
適用開始令和6年4月1日〜
経過措置令和7年3月31日まで(経過措置中は「感染症の予防及びまん延防止のための指針」「非常災害に関する具体的計画」の策定で減算を回避可能だった)
適用要件感染症BCP・自然災害BCPのいずれか、または両方が未策定の場合。もしくはBCPに従った必要な措置を講じていない場合
減算の開始時期基準を満たさない事実が生じた翌月から(月の初日に生じた場合は当該月から)

経過措置がすでに終わっているため、感染症・自然災害のどちらか一方でも未策定の状態が続くと、翌月分から減算の対象になります。両方のBCPをそろえておくことが前提条件になっている点に注意が必要です。

⚠️ 確認が必要な点
減算率・適用要件は一般に公開されている情報をもとに整理しています。実際の算定にあたっては最新の官報・こども家庭庁/厚生労働省の発表、または指定権者である自治体への確認をおすすめします。

2種類のBCPを策定する(感染症・自然災害)

厚生労働省は、次の2つの場面を想定したBCPのひな形をそれぞれ公開しています。

BCPの種類想定する事態根拠となるガイドライン
感染症BCP新型コロナウイルス等の感染症が施設内で発生した場合障害福祉サービス事業所等における新型コロナウイルス感染症発生時の業務継続ガイドライン
自然災害BCP地震・水害などの自然災害が発生した場合障害福祉サービス事業所等における自然災害発生時の業務継続ガイドライン

どちらも「通所系」「訪問系」「相談支援事業」などサービス類型ごとに使う項目が示されており、放課後等デイサービス・児童発達支援(通所系)は該当する章立てを中心に作成します。

感染症BCPの構成

感染症BCPのひな形は、次の5章で構成されています。

内容
第Ⅰ章 総則計画の目的、基本方針、主管部門を定める
第Ⅱ章 平時からの備え平時の対応主体・対応事項(体制づくり、備蓄など)
第Ⅲ章 初動対応感染者(疑いを含む)が発生した際の対応主体・対応事項
第Ⅳ章 休業の検討休業を判断する際の対策本部の構成・対応事項
第Ⅴ章 感染拡大防止体制の確立感染拡大を防ぐための対策本部の構成・対応事項

各章は「対応主体(誰が担うか)」と「対応事項(何をするか)」をセットで記載する形式になっており、自事業所の体制に合わせて空欄を埋めていく作りです。

(通所系)新型コロナウイルス感染症BCPひな形[WORD形式:120KB](厚労省HP より)

自然災害BCPの構成

自然災害BCPのひな形は、より広範囲な項目を8つの大項目で構成しています。

項目内容
1. 総論基本方針、推進体制、リスクの把握(ハザードマップ・被災想定)
2. 事前対策優先業務の選定、研修・訓練の実施、BCPの検証・見直し
3. 平常時の対応建物・設備の安全対策、ライフライン停止時の対策、備蓄、資金手当て
4. 緊急時の対応BCP発動基準、対応体制、安否確認、避難、重要業務の継続、職員の管理
5. 復旧対応破損箇所の確認、業者連絡先の整備、情報発信
6〜8. 通所系/訪問系/相談支援事業固有事項サービス類型ごとの個別対応

放課後等デイサービス・児童発達支援は「6. 通所系・固有事項」を中心に、他の共通項目とあわせて作成します。ライフライン(電気・ガス・水道・通信)が止まった場合の対策や、備蓄品、職員の参集基準など、実際に起きたときに迷わないための具体策まで落とし込む点が特徴です。

自然災害BCPひな形[505KB][WORD形式:504KB](厚労省HPより)

すぐ使える様式ツール集

厚生労働省のひな形には、計画書本体とは別に、そのまま使える様式(テンプレート)も用意されています。感染症BCP用の様式ツール集には、次の8種類があります。

様式用途
様式1推進体制の構成メンバー(本部長・事務局長など役割分担)
様式2事業所外連絡リスト(保健所・医療機関・取引先の連絡先)
様式3職員・利用者 体温・体調チェックリスト
様式4感染(疑い)者・濃厚接触(疑い)者管理リスト
様式5(部署ごと)職員緊急連絡網
様式6備蓄品リスト(マスク・消毒液・防護具など)
様式7業務分類(優先業務の選定。A:継続業務〜D:休止業務の4段階)
様式8来所者立ち入り時体温チェックリスト

自然災害BCPについても、被災想定・点検リスト・備蓄品リスト・安否確認シート・連絡先リストなど、同様の記入フォーム例が用意されています。(雛形の巻末部に挿入されています)
ゼロから様式を作る必要はなく、これらをベースに自事業所の情報を埋めていく形で進められます。

(別添)新型コロナウイルス感染症発生時の業務継続ガイドライン(様式ツール集)[XLS形式:43KB](厚労省HP より)

BCP策定の進め方(STEP)

BCPは一度に完成させようとせず、段階を踏んで作成すると無理がありません。

  • STEP1:ひな形を入手する — 厚生労働省が公開している感染症BCP・自然災害BCPのひな形と様式ツール集をダウンロードします
  • STEP2:自事業所の情報を当てはめる — 主管部門、推進体制のメンバー、連絡先、備蓄品など、空欄になっている項目を自事業所の実情に合わせて埋めていきます
  • STEP3:職員間で内容を共有する — 完成した計画は、研修・訓練を通じて職員全員が「自分の役割」を理解できるようにします
  • STEP4:定期的に見直す(PDCA) — 職員の異動や設備の変更があった際、また年1回の訓練後の振り返りをきっかけに、内容を更新します

研修・訓練とあわせて実施する

BCPは策定して終わりではなく、年1回以上の研修・訓練を通じて、実際に動けるかどうかを確認することも運営基準上の義務です。研修の頻度や他の必須研修(虐待防止・身体拘束適正化など)とのまとめ方については、別記事「放課後等デイサービス 実施義務がある研修について」もあわせてご確認ください。

まとめ

  • BCPは「研修を受ける」ことと「計画書を策定する」ことの両方が必要です。策定した計画に基づいて研修・訓練を行う、という順序を意識しましょう
  • BCP未策定の場合は所定単位数の1%が減算されます。経過措置はすでに終了しており、感染症BCP・自然災害BCPのどちらか一方でも未策定だと対象になります
  • 放課後等デイサービス・児童発達支援では、感染症BCP・自然災害BCPの両方を用意します
  • 厚生労働省のひな形・様式ツール集を使えば、ゼロから作る必要はなく、自事業所の情報を当てはめていく形で進められます
  • 策定して終わりにせず、研修・訓練とセットで定期的に見直すことが大切です

BCPは「もしも」のときに職員が迷わず動くための道しるべです。無理のない範囲で少しずつ整えていきましょう。

研修ページへ(HPへリンク)

よろしければシェアお願いします!
目次