SST(ソーシャルスキルトレーニング)とは?基本的な考え方と遊びの中での取り組み方

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今回はSST(ソーシャルスキルトレーニング)についての記事です。
支援の技法の一つですが、放デイの支援者としても押さえておきたい知識かなと思いますので、一緒に考えていきましょう!

目次

SST(ソーシャルスキルトレーニング)とは?

一般社団法人SST普及協会さんの一文を抜粋します。

『SSTとは?』

“Social Skills Training”の略で、当協会では時代にマッチした「社会生活スキルトレーニング」の和語を用いることを提唱しています。なお、これまでは「社会的スキル訓練」、「ソーシャルスキル・トレーニング」、また精神科領域では「(社会)生活技能訓練」とも呼ばれてきました。単に、頭文字を取って「エスエスティ」と呼ばれることもあります。(中略)

現在では、精神科領域だけでなく、教育領域、就労支援関連領域、矯正教育及び更生保護領域、職場のメンタルヘルス(産業領域)、一般市民など、さまざまな領域で実践されています。また、家庭や職場への訪問など、地域生活者の現場での支援も行われています。

SST は希望志向であり、精神障害をもつ人たちをはじめ、支援を必要とする方の希望に基づいた支援方法です。自己対処能力を高め(エンパワメント)、一人ひとりのリカバリーを目指して、SST が広く活用されることが期待されています。

では「社会生活スキル」とは何でしょうか。

・コミュニケーションスキル
・日常生活動作のスキル
・時間管理のスキル
・問題解決のスキル

と色々と考えられますが、簡単に表すとすれば
「社会の中で、生きやすく生活するためのスキル」
と考えます。

例えば

いつも乗ってるバスが来ない!
このままじゃ仕事に遅れる!!

という問題に直面した際には

・他の交通手段を選択する
・会社に「今の状況」を伝える

などのスキルが必要です。

こうしたスキルを身につけていくための手法としてSSTの考え方があります。

「なくす取り組み」ではなく「身につける取り組み」

SSTは希望志向です。
その人がどうなりたいかや、どうしたいかという視点がとても重要です。

考え方の基本として

「なくす取り組み」ではなく「身につける取り組み」

ということがとても重要です。

子どもの支援でよくある場面を想定してみます。

あの子毎日お友達のおもちゃを奪って揉め事になってるなー

この場合、その行動をなくそうという考えではなく「どういったスキルがあればその子の思いが叶えられるのか」という考え方をします。

そのためには、その子の行動の背景を知ることやその子の気持ちを知ることが必要になります。

・そのおもちゃで遊びたい
・相手の子が嫌いだから嫌がることをしたい
・先生にかまってほしい

というような行動の背景を捉えます。

そのおもちゃで遊びたいという気持ちがあるのならば身につけたいスキルは
「その気持ちを相手(または支援者)に伝える」
というものになります。

なので具体的には

そのおもちゃで遊びたいです

と言えるスキルを身につけさせてあげます。

「お手本」「理解」「行動」「承認」

スキルの獲得においては
「お手本」「理解」「行動」「承認」
の流れがとても大切です。

詳しく説明します。

STEP
「お手本」

まずは支援者が「やってみせる」ということです。
先ほどのおもちゃの例で言うならば、相手の子に「そのおもちゃ使いたいから貸してくれる?」とお手本を示してあげます。

STEP
「理解」

お手本で示した行動の意味を子どもに理解してもらうことが必要です。
その子が理解できるような伝え方をすることを意識します。
言葉だけでは不十分な際には写真やイラストを使用しましょう。

STEP
「行動」

お手本で示した行動を実際にその子にやってもらいます。
「先生と一緒に言いにいこっか」と言って実際にその子に言ってもらいます。

STEP
「承認」

実際にその行動ができた際にはそれを認めてあげます。
必要なのは「成功体験」
その行動をした際に生じた「メリット」を言語化してあげることも大切です。

「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば人は動かじ。」
山本五十六という戦時期を生きた海軍の指導者の言葉です。

この言葉の通り、支援者がいいお手本を示しながら子どものことを褒めてあげるという循環が大切だなと感じます。

遊びの中で取り組むSST

SSTはロールプレイ(場面設定や役割設定をしての取り組み)で実施されることも多いですが
日常の場面でSSTを意識することもとても有効です。

そのためには、子どもたちの関係性や遊びの様子に目を凝らして必要なタイミングで支援に入るということが重要です。
コミュニケーションスキルにおいては、「実際に起きた困った場面」に対しての支援が必要です。
トラブルの背景や状況はその子ども(または場面)によって変わりますので、一つ一つの積み重ねを根気強く支援していきましょう。

まとめ

今回はSST(ソーシャルスキルトレーニング)について考えてきました。
放デイにおいては、夏休み期間などで子どもの生活の場の主となることもあるため、日常生活の中でSSTを意識するということがとても大切だなと感じています。

「挨拶」「食事」「コミュニケーション」などなど

細かなやり取りが「その子にとって必要なスキルの獲得」の手助けになりますので、ぜひチーム一体となって意識してもらえるといいなと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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