小学校の「宿題がしんどい子」への支援について 

今回は、「毎日の宿題がしんどい」という子に対しての支援について考えていきます。
(特別支援学級や通常級に在籍している子を想定しています。)

放デイの支援時間の中でも「学校の宿題に取り組む」という時間がある事業所さんも多いかと思います。
支援者として「何のために宿題をするのか」という部分を抑えておけるといいなと思っています。

目次

「宿題をする意味」とは

まずは「宿題をする意味」について考えてみます。
個人的には以下の3つ意味合いがあるかなと思っています。

①学習内容の定着

いわゆる「復習」の意味合いです。
学校で学んだ内容を再度振り返り、その理解について定着を図るということです。

②自己学習習慣の獲得

・家庭での学習習慣
・一人で取り組む力
・分からないことがあった場合への対処の仕方
ということを身につけるという意味合いです。

この問題どうやって解くんやったっけ?

と子どもが躓いた際に、家族に聞くのか、ノートや教科書を開くのか、はたまたグーグル先生に聞くのか。
選択肢を考えてそれを行動に移すということも大切な力です。

③提出期限に対する時間管理能力の獲得

自身に課された「提出物」を期限内に仕上げる能力です。
月曜に宿題が出て火曜日に提出しないといけない場合は「火曜の朝登校するまでの時間で、いつ取り組まなければいけないのか」を考えないといけません。
夏休み前に出て、夏休み終わりに提出するという宿題であれば、そこに間に合うように進めていく力が必要になります。

「しんどさの程度」を考える

「宿題がしんどい」という子に対しては、まずはその背景を理解しましょう。
背景への理解と、しんどさの程度を家庭や学校・医療機関等と一緒に考えていきます。

学習に対する拒否感が強い

まずはそもそも「勉強が嫌だ!」といった拒否感が強い場合があります。
これに関しては「できた」「わかった」「丸をつけてもらった」という体験が少ないということが考えられます。
まずはスモールステップで「できて嬉しい」「丸や花丸をもらって家族に褒められた」という経験を積ませてあげられるように先生方と協力していくことが大切です。

「書く」という動作自体がしんどい

鉛筆を持って字や数字を書くという動作自体に大きなストレスを抱える子もいます。
このあたりに関しては医療機関との連携が必須ですので、学校とも情報を共有しICT機器も活用しながら「書くことに対する負荷」を軽減できるように進めていきます。

宿題の内容がその子に合っていない

その宿題の内容がその子のレベルに合っているかどうかという視点が重要です。

前項「宿題をする意味」であげた項目③を身につけてほしい場合は、②がある程度できるということが条件になります。そして②を身につけてほしい場合は、その宿題の内容を一定以上理解しているということが条件となります。

ですので、そもそも宿題の内容がその子に合っていない状態では、①②③であげた「宿題をする意味」がなくなってしまいます。

「今」しんどい時期にある

例えば運動会や学芸会の準備などイレギュラーな時間割が増えてストレスが大きかったり、風邪気味で体調が悪かったり、妹や弟が生まれるなど家庭環境が変化したりということにも左右されます。
普段はできるのに、時期的にできなくなる・しんどくなるということはありますので、支援者としてはその時その時の子どもの様子の変化を観察することが大切になります。

「宿題の内容や量の調整」を考える

上記のように宿題に対する「その子のしんどさ」の程度によって、宿題の内容や量の調整が必要になることがあります。(宿題を出さないというのも選択肢の一つです。)

実際に放課後の姿を見ている放デイの支援者としては「めちゃくちゃイライラしながらやっている」「すべて答えを写している」などの情報を記録して共有することが大切になります。

また、毎日一定量の宿題があるというよりは、その子の様子を見ながら、今の時期は減らす・落ち着いてきたから戻すなど柔軟な対応ができるといいかと思います。

取り組む際には「楽しさ」を取り入れる

宿題がしんどい!でもどうしても取り組まないといけない場合は、一緒に「楽しさ」を取り入れてあげましょう。

例えば・・・

・プリントをコピーして支援者も一緒にやってみる

・めちゃくちゃ難しい内容のプリントを支援者が横でする

・1問解けたら楽しいことをする
(なぞなぞ、ポケモンクイズ、好きなキャラの声真似をしてあげる等)

・おままごとの延長で「仕事大変だわー」みたいなノリで一緒に取り組む

・宿題が終わってからの遊びの約束をする

ある程度の脱線を認めながら、楽しい雰囲気で取り組めるといいと思います。
改めて大事なことは、「本当にしんどい場合は調整が優先」ということです。

まとめ

今回は「宿題がしんどい子」への支援について考えてみました。
個人的には「もう学校でも頑張ってるし、しんどいなら宿題はなくてもいい」という考え方です。

ですが、宿題ひとつとってもご家族の考え方学校の考え方放デイの考え方があるようにそれぞれで意見が違うことが出てきます。

一つの場所の意見だけで進めるのではなく、医療機関等とも連携をして、「内容の調整」や「宿題を出すべきかどうか」という事を検討していけるといいと思います。

とは言っても「小学生の宿題」に関してはとても難しい課題だなと感じます。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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この記事を書いた人

初めまして!
放課後等デイサービスで約3年間児発管をしていました。
現在は兵庫県阪神地区を拠点に研修講師等の活動をしています。
児発管業務の一助になる内容や、遊びのアイデア、支援の工夫などなど発信していきますのでどうぞよろしくお願いいたします!
より良い支援が提供できるよう一緒に考えていきたいと思っております。

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