放課後等デイサービス(放デイ)や児童発達支援の現場で子どもたちと関わっていると
「この子が園や学校で、もっと自分らしく過ごすくふうはないかな?」と考える場面によく出会います。
事業所の中だけで支援が完結することはあり得ません。
通っている幼稚園、保育所、小学校や中学校などで何かその子が困っていることがあれば
それに対しても多角的な視点で支援を考える必要があります。
そういったニーズに応えるために平成24年度から始まった保育所等訪問支援事業。
インクルーシブ教育・保育の推進や現場のニーズの高まりを受け、事業所数が増加しています。

引用元資料→障害福祉サービス等の最近の動向(令和6年12月まで)
今回は、厚生労働省のガイドラインに基づき、その目的から人員配置、加算、そして利用開始時の学校園との連携の流れをまとめていきます!
保育所等訪問支援の目的:環境調整と本人理解
保育所等訪問支援の最大の目的は、利用のお子様が保育所や幼稚園、学校などの「集団生活の場」で過度な負担なく、みんなと共に健やかに育っていけるようサポートすることです。
ガイドラインでは、以下の2つのアプローチ(多層的な支援)が基本とされています。
- お子さん本人への直接支援: 訪問員が集団生活の様子を見守り、状況に応じてその場で肯定的な関わりや行動の促し(直接的な関わり)を行います。
- 訪問先施設のスタッフへの間接支援: 園の先生や学校の担任の先生に対して、お子さんの特性に応じた環境設定(視覚的な工夫など)や、具体的な関わり方のコツを提案・共有(間接的な関わり)します。
これらを通じて、子どもたちにとっての「過ごしやすさ」と、先生方にとっての「関わりやすさ」を同時に作り出し、地域での共同生活(インクルージョン)を支えていきます。
人員配置基準:専門性をもった訪問員の配置
訪問支援を適切に行うため、人員配置には高い専門性が求められます。主な基準は以下の通りです。
| 職種 | 配置基準 | 資格・要件など |
| 管理者 | 1名以上(他の職務との兼務可) | 業務に支障がない場合、訪問支援員等との兼務が可能。 |
| 児童発達支援管理責任者 | 1名以上(うち1名は専従、常勤・非常勤を問わない。管理者または訪問支援員との兼務可。) | 訪問支援計画の作成や、訪問先施設との連絡調整を担う。 |
| 保育所等訪問支援員 | 必要な人数(適当数) | 児童指導員、保育士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、または障害福祉サービスで一定以上の実務経験がある者。 |
集団生活への適応のため専門的な支援の技術を有する者
※ 管理者、児童発達支援管理責任者及び訪問支援員の3職種を同一人物が全て兼務することは不可
放デイや児発との多機能型での運営では、配置すべき人員に注意が必要です。
特にこの3職種の中で兼務が発生している場合で、配置基準に関して疑問がある場合は必ず自治体へ確認するようにしましょう。
基本報酬と主な加算
基本報酬は以下の通りです。
| 保育所等訪問支援給付費 | 訪問支援時間が30分未満の場合は算定不可 | 1071単位 |
令和6年度の報酬改定では、より質の高い支援や関係機関との密な連携を評価する体系へと見直されました。
代表的な加算は以下の通りです。
| 加算 | 主な要件 | 単位数 |
|---|---|---|
| 初回加算 | 児童発達支援管理責任者が、初回または初回に属する月に保育等の訪問先との事前調整やアセスメントに同行した場合 | 200単位/月 |
| 家族支援加算Ⅰ ※(月2回を限度) (個別の相談援助) | 障がい児の居宅を訪問し、障がい児及びその家庭等に対する相談援助等の支援を行った場合 | 訪問時間1時間以上 300単位/日 |
| 訪問時間1時間未満 200単位/日 | ||
| 事業所等で対面 | 100単位/日 | |
| オンライン | 80単位/日 | |
| 家族支援加算Ⅱ ※(月4回を限度) (グループでの相談援助) | 事業所等で対面 | 80単位/日 |
| オンライン | 60単位/日 | |
| 訪問支援員特別加算 | Ⅰ 障害児支援の業務従事10年以上又は保育所等訪問支援等の業務従事5年以上 | 850単位/回 |
| Ⅱ 障害児支援の業務従事5年以上10年未満又は保育所等訪問支援等の業務従事3年以上5年未満 | 700単位/回 |
※家族支援加算については以下の記事を参照ください。

本事業利用開始時の学校園との連携の流れ
保育所等訪問支援は、訪問先である学校園の理解と協力があって初めて成り立ちます。
サービス開始のフローを西宮市がまとめていますので以下の資料を参考にしてください。
【資料11-2】【西宮市】保育所等訪問 訪問フロー(エクセル:23KB)
上記エクセルファイルがアップされている西宮市HPはこちら→令和7年度障害福祉サービス等事業者説明会(集団指導)
保護者様から「訪問支援を利用したい」という相談を受け、自治体に保育所等訪問支援の支給申請(受給者証の発行またはサービスの追加)を行います。(保護者様が申請)
ここが最も重要です。訪問支援の目的は「先生方の負担を増やすこと」ではなく「共に支えること」であることを、管理者が学校園(校長、園長、担任)へ丁寧に説明し、訪問の受け入れについて事前の同意をいただきます。
訪問支援員が「指導する」「教える」といったスタンスで出向くと先生方から不信感を持たれてしまうこともあります。今ある環境を大きくガラッと変えることはほぼ不可能ですので、保護者様、学校、訪問支援が同じ方向を向けるかどうかが重要なポイントです。
児童発達支援管理責任者が、保護者様や学校園の先生から「現在の困りごと」や「目指したい姿」をヒアリングし、具体的な保育所等訪問支援計画を作成します。
計画に基づき、訪問支援員が学校園を訪問します。「何を言われるだろう」「点数を付けられているようで嫌だ」と緊張される先生もいらっしゃるかもしれません。先生方へのリスペクトを忘れず、かつ専門的な視点を持って寄り添う関係を作っていきましょう。
まとめ:学校園の「心強い味方」になるために
保育所等訪問支援事業は、単にお子さんを観察しに行くだけのものではありません。
学校や園の先生方が日々のクラス運営の中で抱えている「どう関わればいいのだろう?」という悩みに寄り添い、「一緒に子どもたちの育ちを支えるパートナー」として信頼してもらうことがスタートラインです。
事業所数が増えている今だからこそ、私たち支援側がガイドラインの目的をしっかりと理解し、丁寧な連携プロセスを踏むことで、子どもたちがどこにいても安心して輝ける社会を、一歩ずつ作っていきたいですね。
基本報酬と、特別加算Ⅱを合わせておよそ2000単位にもなるサービスです。
実際の訪問時間自体は45分〜90分程度かもしれませんが、連携に際しての丁寧なやりとりをしたり、必要に応じて支援ツールを作成したり、フィードバックの時間を設けたりするなど様々なスキルが求められるサービスだと感じています。
事業所間での連携が進み、「うまくいった事例」を共有するなど保育所等訪問支援の質が全体として高めていけるように頑張りたいなと思っています。
最後までお読みいただきありがとうございました!



